弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年5月30日

旭山動物園物語

著者:古舘謙二、出版社:樹立社
 子どもたちが小さいころには、私も動物園によく行きました。残念なことに、もう久しく動物園には行っていません。幼い子どもがいるというのは、手がかかって大変だと言えばそうなのですが、本当はとても幸せなことだと今しみじみ思います。いえ、全然そんなところに行かないというのではありません。少し前に鹿児島と沖縄の水族館に行って、海の神秘を改めて堪能してきました。
 北海道の旭川市には、私も一度だけ行ったことがあります。盆地ですから、夏は北海道とは思えないほどに暑くなり、冬はマイナス30度にまで冷えこむまちです。そんな旭川にある動物園が、今や東京の上野動物園を抜いて日本一の入場者数を誇っているというのです。なぜ、でしょうか・・・。
 この本には、ペンギンの行進の写真が紹介されています。両側に人間が列をつくって見物するなかを、ペンギンたちが往復500メートルを群れをなしてよちよち散歩していくのです。折り返し地点では、寝そべってすべったりして10分ほど遊び、それに飽きたらまた引き返すそうです。いえ、動物園がペンギンたちに散歩を強制しているのではありません。ただペンギンの本能を生かして、人間はただ見守っているだけなのです。なんだか見てるだけで楽しくワクワクしてくる写真ですよ・・・。
 オランウータンの空中運動場というのもあります。高さ17メートルの2本の柱に長さ13メートルの鉄骨を渡し、その下にロープを張っています。もちろん、オランウータンはその高くて長いロープを伝わって散歩するのです。安全ネットなんかありません。野生のオランウータンは高さ30メートルの木の上で生活していますし、握力は人間の10倍、400キロもあり、とても用心深い性格なので、落ちるわけがないのです。人間は、下から見上げて眺めるだけ。これを渡り切ってはじめてメスに一人前のオスと認めてもらって、ついに赤ちゃんが生まれたというエピソードが紹介されています。うーん、なるほど、ですね・・・。
 人間の赤ちゃんとシロクマがにらめっこした話には、つい笑ってしまいました。人間の赤ちゃんは目の前に来た白クマさんを興味津々で見ています。ところが、クマの方は目の前の赤ちゃんをエサのつもりで食べようと思って近づいているのです。なーるほど・・・。 ホッキョクギツネは寒さに強く、マイナス70度になってはじめて震えはじめるそうです。すごーい。動物たちが毎日のびのび生活している様子がよく分かる、そんな動物園です。私もぜひ行って見てみたいと思いました。また旭川に行って、動物園に行き、そして帰りに有名なラーメンを食べて心身ともに温まってこようっと・・・。

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