弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年5月20日

夏の椿

著者:北 重人、出版社:文芸春秋
 江戸時代を舞台とした時代小説。神田川に舟が浮かび、川岸にはしだれ柳が風を受けて揺れている。そんな情景をふつふつと思い描くことができます。
 江戸時代にも地面師がいました。今でいう地上げ屋のことです。貧乏長屋の住人が邪魔なので、浪人をつかってなんとか追い出しを図ります。
 幕府経済を動かしていたのはお米。その米問屋の不審の筋が見えてきます。高利貸しまがいのことをしては、狙った地面を取りあげて利を図るというのです。
 江戸の町人と長屋に住む人々の生活を背景に、殺人事件の謎を周乃助が足を運んで解きほぐしていきます。そこに襲いかかる剣の達人。その素性は何か・・・。
 時代劇に大型新人登場とオビに書かれています。人情物というより、探偵の謎解きという感もありますが、なかなか読ませます。

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