弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年4月 8日

企業情報はこんな手口で盗まれる

著者:宮崎貞至、出版社:東洋経済新聞社
 元キャリア組の警察官僚だったせいか、著者が日本国憲法について「奴隷の平和」憲法だと悪罵を投げつけているのはいただけませんが、企業情報が盗まれている現実を知ることはできる本です。
 従来の秋葉原タイプのアナログ盗聴器だと、盗聴電波の監視装置ですぐ見つかってしまう。しかし、最近のモバイルフォンはデジタル波なので検知が難しい。だから、プリペイド式の携帯電話をオンにしてスパイを会議室にもぐりこませると、会議内容をリアルタイムで盗聴することができる。たとえば、携帯電話のバッテリーを、盗聴発信器を埋めこんだ別のバッテリーにすりかえたら、半永久的に盗聴できることになる。
 カメラ付き携帯が普及しているから、それで営業秘密を盗み出すのはしごく簡単になっている。会議のとき無線マイクをつかうと、かなり離れていても内容が傍受されている危険がある。無線LAN傍受器もはびこっている。
 名簿業者は1人あたり1円で情報を仕入れ、その100倍の1人あたり100円で販売する。個人情報で一番高く売れるのは金融系の借金履歴つきの顧客リストで、1人あたり1000〜2000円。デパートの外商の顧客リストは1人あたり500〜1000円。
 ファックスの信号傍受は、内容や宛先が正確なので、産業スパイの一番のターゲット。Eメールは、世界中で、100台以上のモニター機に監視されていると覚悟すべきもの。
 うーん、便利な情報化社会ですが、危険もいっぱいなんですね・・・。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー