弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年4月 7日

司法改革

著者:日弁連司法改革実現本部、出版社:日本評論社
 司法改革とは何だったのか。その全体像をふり返るためには不可欠の本です。いわば日弁連による司法制度改革「正史」ですから、あまり面白くないと言えば、そのとおりです。
 そのなかでは、久保井・本林という2人の日弁連元会長のインタビュー記事が読ませます。やはり、会長として2万人をこえる弁護士をまとめるうえで、相当の苦労をされたからです。
 法科大学院には、600人の弁護士が実務家教員として出かけているそうです。単なる予備校にならないように弁護士もがんばっているわけです。
 本林前会長は、今の世の中の変化の速さに即応した日弁連の対応ができるようになったことを最後に指摘しています。常勤の弁護士スタッフを抱えてようやく実現した課題です。これまでは東京のほかは大阪・京都くらいでしたが、九州からもスタッフを送り出せるようになりたいものです。
 とにもかくにも、刑事裁判が裁判員制度の導入によって大きく変わりますし、新しく労働審判制度もできました。裁判所改革にしても、外部の意見を反映するシステムがつくられましたので、その透明化はぐんとすすみました。形式ができても、運用がこれまでと同じでは困ります。司法改革は、まさにこれからが正念場なのです。その意味でも、この本は心ある弁護士にとって必読文献だと思います。

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