弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年3月22日

性のお話をしましょう

著者:団まりな、出版社:哲学書房
 題名と表紙の絵からキワモノ的な話に出会えるかと期待したら、見事にはずれました。いたって真面目な話なのです。
 著者は三池炭鉱の中興の祖である団琢磨の孫にあたります。父親は実業界に入らず、東大に入って動物学を志し、ザリガニの解剖ばかりしていた変人だったようです。アメリカで研究していました。
 男力の低下は女力の低下に比べて、はるかに多面的かつ重度である。女がどっしり足を地につけて生きているのに対し、男にはどこかふわふわとした不安定感があり、社会的な影響を受けやすい。これは、男の身体が女の身体に上乗せしたものであり、足が地面に着きにくいからだ。
 男は自分の弱さを認識しなければならない。男は強くて有能であり、女は社会的能力が低く、けがらわしく、自分たちが支配してやらなければロクな知性も持てないものだ、などと虚勢をはらず、自己欺瞞をやめるべきだ。自分の脆弱さを率直に受けいれ、女の力を計算にいれ、両者で協力しあっていくことだ。
 うーん、そうなんです。女性の力が強いことは、私も弁護士になって、つくづく日々実感していることです。
 タンパク質は細胞をつくりあげている巨大分子のなかで、もっとも重要なもの。そのタンパク質をつくり出すためには、必要なアミノ酸だけのチッソ原子が必要だ。だから、細胞は外部から常にさまざまな形でチッソ原子を取りこみ続けている。
 人間のDNAは、つなぎあわせると2メートルの長さになる。人間の身体はおよそ60兆もの細胞からできているが、そのすべての細胞の核のなかに2メートルの長さのDNAが入っている。DNAの太さは2ナノメートル。DNAの太さを縄跳びのビニールのヒモの太さ(0.5センチ)にまで拡大したとすると、DNAの長さは5000キロの長さになってしまう。
 DNAは自分で自分を複製することはできない。DNAは、自分のもつ遺伝子情報からつくられるいくつものタンパク質やRNAの働きによって、自分のそっくり同じ分子を複製してもらって、はじめて次世代に情報を伝達することができる。
 人間の身体そして生物の仕組みは本当に不思議そのものです。

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