弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年2月 4日

アヴェンジャー

著者:フレデリック・フォーサイス、出版社:角川書店
 アメリカは、世界じゅう場所はどこであれ、アメリカ人を殺したら、ブロードウェイで殺したのと同じとみなす権利を勝手に自国に付与した。要するに、アメリカの司法権は地球全体に及ぶということ。
 べつに国際会議や条約でそう決まったのではない。アメリカがそう決めただけ。多国間安全保障法、1984年の包括的犯罪管理法、1986年の反テロリスト法によって、海外でアメリカ人に対しておこなわれたテロ行為に適用される新しい領土外適用の法律が生まれた。
 フォーサイスの本はいくつも読みましたが、さすが最新の本だけあって、アメリカの身勝手さをむき出しにした世界状況をふまえたストーリーになっていて、しかも丹念に状況が積み上げられていますので、納得しながら読みすすめることができます。
 アメリカ人が外国人をいくら虐殺しようと何の問題もない。1人のアメリカ人が外国人から殺されるのは絶対に許さない。草の根をわけても捕まえて復讐しないではおかない。それがアメリカ人の醜い本質です。

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