弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年2月 4日

赤ちゃんがヒトになるとき

著者:中村徳子、出版社:昭和堂
 チンパンジーの赤ちゃんを学者として育て、また、自らも2人の娘さんを出産し育てている体験にもとづいてヒトとチンパンジーの赤ちゃんを具体的に比較した本ですから、とても面白く興味深い内容です。要するに、チンパンジーの赤ちゃんとヒトの赤ちゃんはほとんど変わりはないのです。でも、大事なところでの違いがあります。それは、どこ・・・?
 チンパンジーを生後3日から6歳半まで家庭で育て、ことばを話す訓練をしてみたが、パパ、ママ、カップ、アップの4語しか言えなかった。喉頭上部と咽頭部の構造上の違いから、チンパンジーはヒトの母語のa、u、oにあたる音は出せず、舌の可動性にも限界がある。
 鏡に映る自己像を見て自分だと分かるのは、大型類人猿(オランウータン、ゴリラ、チンパンジー)とヒトだけ。ヒトも、生まれてから鏡を見たことがないときには、3歳半以上でないと映っているのが自分だとは分からない。
 サルはヒトと目をあわせない。チンパンジーの赤ちゃんがヒトの赤ちゃんに一番似ているのは見つめあうという愛情表現のできること。
 チンパンジーの母親は赤ちゃんに声をかけたり決してしない。ヒトの赤ちゃんは母親に何かモノをやろうとするが、チンパンジーにはそれはない。
 チンパンジーの赤ちゃんが母親の方を振り向くことはまずない。あることを成し遂げて親に「ほら見て、できたよ!」と言いたげに振り返るのは、ヒトの赤ちゃんだけに見られる特徴である。
 うちの子たちが赤ちゃんのころを思い出しました。立って歩みはじめたときの驚きを今も鮮明に覚えています。といっても、ロボット(アシモ)も最近では立って、走ることまでできるようになりましたが・・・。人は案外、口をつかうものです。下の娘は小学1年生のとき、数の計算をするときに、指を口元にあてながらやっていました。ああ、こうやって身体ごと数えるのかと、そのときは大発見した気持ちになりました。

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