弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年1月28日

黙って行かせて

著者:ヘルガ・シュナイダー、出版社:新潮社
 自分の親がナチスに心酔していて、アウシュヴィッツの看守をつとめていた。しかも、今もそのことを反省も後悔もしていないとしたら、子どもである自分は親に対して何と言うべきか。やはり、ママと呼びかけ、抱きしめるべきなのか。4歳と2歳の2人の子どもと夫を捨ててナチスへ走った母親に、その捨てられた娘が50年たって再会する。そのとき、母親にどう接したらよいのか・・・。実に重い問いかけです。
 最初のうちは、本当にちょっと気の毒だと思ったんだよ。でも、あたしは、すぐにそれを乗りこえた。自分のうけもつ囚人に対して同情やあわれみをもつことはあたしのやってはいけないことだったから・・・。
 不眠症にかかったことなんてない。自分を甘やかすわけにはいかなかったし・・・。焼却されたのは、ただの役立たずだけさ。ドイツをあのつまらぬ人種からとことん解放したやらねばねと思ってね・・・。
 イギリスのチャールズ皇太子の息子がナチスの服装をしたことが問題になっています。ナチスが実際に何をしたのか、真実をきちんと子どもそして孫へ伝えていくことの大切さを今さらながら感じます。

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