弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年1月18日

がんと心

著者:岸本葉子、出版社:晶文社
 1年間にがんと診断される人は50万人いて、闘病中の人は300万人もいる。がんは不治の病から治る病気になった。
 発がんの寄与率は遺伝など体質が40%、残る60%は食生活などでコントロール可能。
 タバコは有害、そして暴飲暴食しないこと。特別の性格、特別のストレス、うつ状態ががんを引き起こすことはない。ただ、ライフスタイルの乱れは大きい。
 ネクラの人はネクラにやっていくのがいいし、明るい人は明るくした方がいい。ネクラの人を無理に明るくしようとすると、かえって逆効果。
 がんの告知は、知りたくない人には伝えない。少しだけ知りたい人には少しだけ伝える。たくさん知りたい人にはたくさん伝える。これがいい。
 検診は予防ではない。完全に分かるわけではない。検診で有効性が確立しているのは、胃、子宮頸部、乳房、肺、大腸と肝臓のみ。
 連れあいをなくしたとき、女性は死別後3〜4年で自立し、4年たつと普通人と同じ死亡率になる。ところが、男性は妻をなくすと、ずっと死亡率が高いまま。気がゆるむし、希望がなくなる。女性は、自立を獲得し、強くなる。
 死を通過点、別の命への結節点としてとらえると、「死」という人間にとって最大の問題が原理的に成立しなくなる。そうではなくて、そこから先はいっさいが途絶える断崖絶壁としての死を考えるからこそ、「生」という問題が人間にとって、このうえない集中度と緊張をもって成立する。
 うーん、そうなんだよなー・・・。

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