弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年1月 7日

からだと心を鍛える

著者:宇都宮英人、出版社:海鳥社
 著者は才人です。英語と中国語を自由自在に話す語学の達人のうえ、空手道教士6段として空手教室を主宰しています。さすが弁護士を本業とするだけに、本書では護身術としての空手について、さまざまな角度から理論的に考察しています。
 理論はともかく、護身術としての空手の実践的意義を強調し、それが青少年にとっても有益であることが分かりやすく語られ、読み手を魅惑します。水泳とハイキングくらいしか身体を動かしていない私ですが、つい空手もやってみたいなと思わせました。
 著者は、とくに中学生や高校生に空手をすすめています。それは、空手が自信を失った中学生や高校生を再生させる力があるという実践に裏づけられた確信があるからです。本書には、その実例が紹介されており説得力があります。
 さらに、著者は試合で勝つことをあまり優先しすぎることについての疑問を提起しています。空手は、身体をコントロールしていく過程において、自らが本来もつ生命の息吹を実感することによって生き生きとした力を蘇らせる効果があるというのです。
 20年来、空手教室を主宰してきたという重みをもった実践に裏づけられていますから、人の心を強く魅きつけものがあります。

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