弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年12月28日

恋愛結婚は何をもたらしたか

著者:加藤秀一、出版社:ちくま新書
 日本の離婚率は現在が最高だと誤解している人は多い。しかし、江戸時代に離婚は現代日本と比べものにならないほどあたりまえのことで、それを受けついだ明治時代前期が統計的にみて史上最高だった。今、ようやく、それに近づきつつあるというだけのことだ。明治前期の日本は離婚が容易で、数もとび抜けて多い国として海外にも知られていた。
 恋愛という言葉は明治20年代になって生まれ、一般化したもので、それ以前はなかった。明治の作家である泉鏡花は、結婚とは個人が社会的な圧力に負けてするものであり、無我としての完全なる愛は結婚していない場合にのみ成立するから、結婚とはみなが言うほどめでたいものではないとしている。うーん、そうも言えるかなー・・・。
 明治維新後に、むしろ妾の地位は飛躍的に高められた。それは、「家」の継続を保障し、国家の基盤を強化することが狙いだった。一夫一婦制は望ましいことだが、妾を廃してしまったら、皇族の血統が絶えてしまう恐れがある。だから、妾をもつのは認めるべきだという声が政府内には強かった。ことは皇室の存続に関わっていた。
 現に、いま天皇の後継者(男性)が確保できるのか真剣に議論されている。

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