弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年12月20日

プーチンの帝国

著者:江頭寛、出版社:草思社 
 プーチン大統領が権力を握るまでのいきさつ、そして大統領になってからのロシアの政財界の権力闘争が生々しく描かれています。
 ロシア政府や財界内部の権力をめぐる暗闘は、日本人の想像を絶するすさまじさ。
 オビのうたい文句は決して誇張ではありません。読んでいるうちに気分が悪くなるほどのえげつなさがエリツィン前大統領からプーチン大統領まで、連綿と展開していきます。日本と違って暗殺もしばしばですから、吐き気をもよおすほどのひどさです。でも、日本人にとっても対岸のことと腕を組んで傍観しているわけにはいきません。経済のレベルで、日本の財界もロシアの石油利権などに深く関わっています。
 残酷なテロの頻発するチェチェン紛争も、結局のところ、プーチン大統領が単に強いロシアをめざして国民受けを狙っているというだけではありません。世界最大の産油国のひとつであるロシアの石油利権の争奪戦でもあるのです。それにしても、つい目をそむけたくなるほどの醜悪さです。果たして、ロシアの人々は救われるのでしょうか・・・。

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