弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年12月10日

思索紀行

著者:立花隆、出版社:書籍情報社
 かの立花隆も、今や64歳。その本名が橘隆志であることを初めて知りました。戦前の五・一五事件のとき、民間指導者として逮捕され無期懲役刑を宣告された橘孝三郎は身内だそうです。
 この世界を本当に認識しようと思ったら、必ず生身の旅が必要になる。やはり、この世の中には、行ってみないと分からないもの、自分の肉眼で見ないと分からないもの、自分がその空間に身を置いてみないと分からないものが沢山ある。
 この点は、私もまったく同感です。私とちがって、語学のできる立花隆は、大学生のころから、ずっと外国をまわっています。イスラエルに何ヶ月もいたり、ギリシアを訪れたりと、世界のあちこちに出かけています。外国語のできる人はうらやましい限りです。
 私も、42歳のとき、南フランスに40日間、1人でウロウロしていたことがありました。妻子を日本において無責任にも「独身」気分に浸っていたわけです。今でも、あなたの身勝手さには呆れてしまうと非難されています。でも、でも、やっぱり行ってよかったと本当に思っています。4週間目には、頭の中のフランス語が不思議にスラスラと口から出てくるようになりました。一大変身をとげたのです。残念なことに、それが帰国する前の週のことでした。もっと長く滞在できたら、フランス美人を口説けたのかもしれません。
 やはり、旅は人間の成長にとって大切なものだと、つくづく思います。

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