弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年11月 1日

ヤンキー、弁護士になる

著者:金崎浩之、出版社:講談社
 暴力団組長の妻だった大平光代弁護士の本『だから、あなたも生き抜いて』(大平光代、講談社)を読んですごく心をうたれたことを思い出しました。いま大平光代弁護士は大阪市の助役をしています。
 こちらは、元暴走族のリーダーをしていた青年が偏差値38、高校退学そして定時制高校を経て大学に入り、ついに司法試験の合格するという話です。子どものころの荒れようは読む人の心を寒からしめます。ともかくケンカづくめの毎日です。番長をめざして一対一でケンカしたり、集団乱闘事件を起こしたり、学校からも親からも愛想を尽かされます。
 高校を退学させられて働きはじめ、労働の単調さに愕然とし、再び学校に戻る気になります。入った定時制高校で教師にめぐりあい、勉強の意欲を燃やし、ついに大学入学に成功するのです。基礎がなくて勉強するのは本当に大変だったと思います。一点突破の勉強法でそこを乗り切り、大学ではESSで活動します。そして司法試験に挑戦。すごい根性の人間(ひと)です。
 それにしても、非行に荒れるわが子を放りっぱなしにする父親って私にはとても信じられません。でも、多いんですよね・・・。会社(父親は銀行員)では猛烈社員だったようですが、子どもと対話をしようと思わなかったことが不思議でなりません。家庭に楽しみがなくて、仕事(会社)って、そんなに面白いものなんでしょうか・・・。誰か、その心境を教えてください。

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