弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年10月 1日

選挙参謀、三ヶ月で代議士になれる

著者:前田和男、出版社:太田出版
 私と同世代、つまり団塊世代の弁護士が東京での仕事にあきたりなく思って、地元の大阪から衆議院選挙に立候補し、公明党の候補に惜敗はしたものの、比例区で復活当選した。本書は、その選挙参謀が、選挙戦を総括した貴重な文献。いわば、選挙のウラ話が満載されている。
 しかし、著者も力説しているが、いまの選挙戦の実態は、政策を国民に問い、それで争う、というより、まさにイメージ選挙になっている。候補者を売りこむのに、マニフェストだとかイラストが中心で、その肝心な中味はあまり問題にされていない。あとはマスコミの関心をいかにひくかというだけ。これでは日本の将来は、お先まっ暗としか言いようがない。それでも、無名の新人が復活当選できたというのだから、本人のがんばりもあったと思う。
 その点、本人が団塊の世代の責任を問うていることは共鳴するところがあった。大学時代に紛争に関わっていながら、いま政治に関わろうとしないのは無責任ではないかということ。その点は、私もまったく同感だ。私は、大学紛争(この言葉を私は好きではない。私にとっては東大闘争としか言いたくない。なぜなら、それで死んだ人も身近にいるから。あれは生半可なものでは決してなかった)について、今の若者にその実相をぜひ知ってほしいと思って、いま本を書きつづっている。早く完成させたいと願って努力しているところだ。

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