弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年10月 1日

概説・土地法

著者:須田政勝、出版社:明石書店
 宅地から国土開発・自然保護まで、土地をめぐる法律を体系的に概説した本です。500頁近い大作ですが、とても分かりやすい文章なのに感心しながら読みました。
 著者は、日弁連の公害問題対策委員会などで長く活躍してこられた大阪の弁護士です。私も一緒に活動したことがありますが、とても理論的に鋭く、その発言に何度も感心させられました。少し前に病気で入院し、自宅療養していたときに書きはじめたそうです。なかなかどうして、土地をめぐる法律を、全体として、これほど簡にして要を得て解説できるという才能にほとほと感心しました。基本的な用語を簡潔に定義づけ、類似語との違いもきちんとおさえていくあたりは、さすが実務家です。
 日本の農業人口は2800万人を割り、全就業者の4%しかなく、耕地面積も500ヘクタールを割っている。専業農家は43万戸しかおらず、2ヘクタールが専業できるかどうかの境目となっている。このような現状についての基本的なデータも満載され、日本の土地問題をめぐって全体を概観できる本として一読をおすすめします。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー