弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年8月 1日

大阪で闘った朝鮮戦争

著者:西村秀樹、出版社:岩波書店
 1950年6月、朝鮮戦争が勃発した。最近の韓国映画『ブラザーフッド』がその実情をまざまざと描き出している。日本は、この朝鮮戦争といかに関わったのか。まずなにより、この戦争のおかげで日本経済はたちまち復興したということだ。戦後日本が今日あるのも朝鮮半島の何百万人もの死傷者のおかげだということを自覚しなければいけない。それだけでなく、日本人も朝鮮戦争に従軍し、何人もの戦死者を出した。経済復興といっても単に普通の経済活動が活発化したということではない。武器や砲弾の大量生産と輸出によって日本経済は復興した。
 この朝鮮戦争に対してアメリカ軍の日本からの出兵に反対する闘争が組織されて起こったのが大阪の吹田・枚方事件(1952年)である。
 この本は、これらの事件の真相を関係者にたずね歩いて判明した事実をまとめたもの。朝鮮戦争が日本人にとっても決して他人事(ひとごと)ではないことを発掘したものとして貴重な記録だ。

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