弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年7月 1日

新しい戦争の時代と日本

著者:渡辺治、出版社:大月書店
 海上自衛隊は、「こんごう」「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」という4隻のイージス艦を保有している。このイージス艦は、本来は空母機動部隊を護衛するための防空・情報収集巡洋艦ともいうべき艦である。4隻のイージス艦は、4護衛隊群それぞれの旗艦となっている。北朝鮮が打ち上げたテポドンミサイルの弾道を発射から着弾まで確認してアメリカに情報を提供したのは、このイージス艦だった。
 中国と日本は空母を保有していない。海上自衛隊は自衛艦137隻(そのほか支援艦船280隻)を保有し、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスに次ぐ世界第6位の海軍でもある。しかし、空母をもたない。空母をもつことは十分な海外展開能力をもつ一流海軍のあかしなのである。だから、海上自衛隊は空母の保有を悲願としている。
 ところが、空母が明らかな攻撃的兵器であるため、政府は憲法上の制約があるので保有できないとしてきた。そこで、ヘリコプター搭載護衛艦を多数もつようにした。これは日本独特の護衛艦である。哨戒ヘリ・対潜ヘリを搭載ないし離発着可能な艦は40隻にのぼっている。ハリヤーのような垂直離着陸機に換えたら、空母と同じ機能をもつことになる。 ところで、1998年に一番艦が就役した「おおすみ」型輸送艦は、飛行甲板をもつなど、外見上はまったく空母と異ならない。「おおすみ」は兵員1000人の輸送が可能であり、LCAC(エルキャック)と呼ばれるホーバークラフトを2隻搭載している。このLCACは50トンの90式戦車1両をそのまま積める。輸送艦というより強襲揚陸艦である。
 新しい戦争の時代へ日本がふみこもうとしている現実があります。そこのところをもっとフツーの日本人は認識する必要があると、痛感させられました。

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