弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年7月 1日

強奪されたロシア経済

著者:マーシャル・ゴールドマン、出版社:NHK出版
 1998年に世界の富豪200人が発表されたとき、史上はじめて5人のロシア人企業家が入っていた。このニュー・リッチはオリガルヒと呼ばれるが、この5人は、実は10年前までは財産と言えるようなものを何も持っていなかった・・・。
 オリガルヒには3種類ある。第1は、国有企業の元企業長たち、第2は、共産主義時代の「ノーメンクラトゥーラ」と呼ばれる上層幹部、第3は、1987年まではソビエト社会の外まわりにいた人々。
 ソ連のブレジネフ政権のもと、ブレジネフの娘の夫であるユーリー・テュルバーノフ内務次官は警察の元締めであった。このチュルバーノフがウズベキスタンのマフィアから手当を受けとっていた。ウズベキスタンのマフィアの頭目は、なんと、共産党第一書記だったのだから、犯罪撲滅キャンペーンの成果が上がらなかったのも当然のこと。
 1986年、ソ連全体で殺人は1万5000件だった。ところが、2000年にはロシア国内だけで2倍以上の3万1829件。2001年には、人口10万人あたりの殺人件数で、ロシアは南アフリカに次いで第2位だった。
 毎年、国家予算の4分の1が、「意思決定者たち」のポケットに消えていった。
 ロシア内務省の組織犯罪取締総局によれば、1994年には4352人の「マフィア」がいて、マフィアのリーダーが1万8000人、メンバーは10万人にのぼるという。
 ロシアのマフィアは、部分的に私有化されてしまっているKGBや政府官僚層と結びつき、この三者が渾然と手を組みあっている。
 背筋の寒くなるような、ぞっとする恐ろしいロシアの実態です。

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