弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年7月 1日

北米大停電

著者:山家公雄、出版:日本電気協会新聞部
 2003年8月14日、15日。ニューヨーク市は、いきなり全市停電となり、地下鉄が止まり、飛行機まで飛ばなくなりました。携帯電話もつながらないなかで、人々は2001年「9.11」テロを心配させられました。
 停電の被害は、アメリカ8州とカナダの2州、あわせると5100万人にも及びました。その6180万キロワットというのは、日本でいうと関東地域を上まわる規模です。
 コンピューターは、停電のときには、基本的に作動しなくなり、携帯電話もつかえません。むしろ、固定式電話の方が電気使用量が少ないので停電には強いのです。
 なぜ、このような大停電が発生したのかを究明しようとした本ですが、必ずしも歯切れは良くありません。コンピューターシステムがよくなかったとか、電気会社同士の連携が十分でなかったとか、いろいろな指摘がなされています。でも、電力自由化のもとで、乱立する電気会社の多くが利潤第一主義に走るあまり、保守点検とか「無効電力」の不足という問題をひきおこしたことが指摘されています。門外漢の私には、ここらあたりに重大な問題がひそんでいるように感じられました。ともかく、電気は水と並んで必要最低限のインフラなのです。それを整備し、保障するのは国の責任ではないでしょうか?。

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