弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年6月 1日

巨大化するアメリカの地下経済

著者:エリック・シュローサー、出版社:草思社
 成人映画は、一般の作品よりも、利幅がはるかに大きいドル箱部門だ。以前はカウンターの下でこっそり売られていたハードコアビデオが、今や個人経営のビデオ店のみならず、大手企業によって市場に送り出されている。ペイ・パー・ビュー方式のポルノ映画が国じゅうのケーブルテレビや衛星テレビで1日24時間、週7日、ひっきりなしに放映されている。ポルノ収入は個人ビデオ店の3分の1、ケーブルテレビの事業主が売上げの70%を手にする。アメリカ国内で制作されるハードコアビデオの4分の3がロサンゼルス郡で撮影されている。
  現在アメリカで売られているハードコアビデオ、DVDの5分の1は素人作品つまりプロでない人間が出演している。見ることの好きな人と見られることの好きな人たちが数億ドル規模の市場でつながっている。南カリフォルニアには、ポルノ業界に入りたい女性があふれかえっている。おかげで報酬が下がり、1シーン150ドルで働く新人もいる。新鮮みを失うので、2年以上も仕事を続けられる女優はまれだ。エイズへの不安が性風俗業界にある。有名なポルノ・スターの多くがエイズにかかっている。
  近年、インターネットを介したポルノの流通が急増している。アメリカ人がオンラインのポルノに費やす額は、いまや年間10億ドルにのぼる。男性の32%、女性の11%がアダルトサイトにアクセスした。聖職者の27%が月2回以上、インターネットでポルノを見ていた。それで『ペイント・ハウス』や『プレイボーイ』『ハスラー』のようなヌード雑誌が衰退した。いまでは30万サイトで無料の性的な画像にアクセスできる。
  デンマークはポルノを合法化してしまった。その結果、ポルノ市場は縮小する一方だ。というのも、合法化してしまえば、大半の人間がポルノを不快で面白味がないと考えるからだ。なるほど、なるほどね・・・。感心しながら読みました。

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