弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年6月 1日

アメリカ時代の終わり

上・著者:チャールズ・カプチャン、出版社:NHKブックス
 今日の世界とローマ帝国末期の世界には驚くべき類似点がある。当時のローマと同様、現在のアメリカは卓越した存在であるが、帝国の中心からパワーと影響力が徐々に拡散するのを目の当たりにするにつれ、覇権の負担に疲れを感じはじめている。
  現在、インターネットにアクセスできるのは世界人口の6%にすぎず、そのほとんどが北アメリカとヨーロッパに暮らしている。持てるものと持たざるものの格差は日に日に広がっている。金持ち国に住む世界人口の5分の1と、最貧国の5分の1の人々との収入格差は1960年の30対1から、1997年には74対1になった。世界人口の5分の4は、世界の収入の5分の1しか得られない国に住んでいる。
  アメリカの一極時代は、あと10年ともたないだろう。ブッシュ大統領は、一般的にリベラル国際主義に熱心でない南西部の有権者に支持を訴えている。彼自身がこの地域の出身であり、大統領になる前は、外国の出来事にほとんど関心を示していなかった。孤立主義と単独行動主義は、実際には、コインの表と裏である。アメリカは、できる限り国際的な関与を避けるべきだが、関与するときには、アメリカの自主性が守られるようなやり方で行うべきである。こう考えているのだ。
  いろいろアメリカについて深く考えさせられる本でした。

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