弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年6月 1日

クモはなぜ糸から落ちないのか

著者:大崎茂芳、出版社:PHP新書
 クモの糸の研究を25年以上も続けているというのですから、その持続力には頭が下がります。クモの糸でネクタイを編む可能性を追求しているそうです。クモの糸には柔軟性があるので銃弾のエネルギーを吸収できるから、防弾チョッキの素材にふさわしいというのには驚きました。ただし、草食性のカイコとちがってクモは肉食性だし、共食いの心配もあるので、大量飼育ができません。採算性に難点があります。
  クモの祖先は海中に生活していて、それが淡水へ移って、次いで陸に上がったといいます。クモは、4億年間も生きてきました。クモは昆虫ではありません。昆虫は足が6本で、クモは、サソリやダニと同じく足が8本あるからです。
  クモの糸は粘着性があるわけですが、自分の足がからまないのかと不思議に思っていましたが、つくるときには足場糸をはっていて、あとで足場糸を取り外すのです。つまり、自分の足にも下手するとクモの糸がくっつくのです。クモは絶えず2本からなる命綱をつかいながら動いているというのにも驚きました。クモもあわてて地面に落ちてしまったら死ぬのです。身が軽いから、そんな心配はないと私は思っていました。
  生まれたばかりの子グモたちの群に棒を入れたところ、一番下でフラフラしている子グモをその上にいた子グモが助けに降りて、上に引き上げてやった。しかも、牽引糸をすべて集めるという整理整頓までした。そんな観察が紹介されています。子グモ同士が助けあっているというのです。とても信じられませんよね・・・。

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