弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年6月 1日

公認・地震予知を疑う

著者:島村英紀、出版社:柏書房
 地震予知には方程式もなく、科学的根拠には乏しいと著者は指摘しています。それは、天気の長期予報と同じようなもので、経験的に予測しているにすぎないということです。海溝型地震の長期的予知については可能としていますが、それも、80年から150年先には起きるだろうという程度のものです。よく聞かされる大地震の前兆があったという話も、結果と結びつけているだけであって、本当にそれが前兆なのか科学的に検証されているわけでもないとしています。
 1978年に成立した大規模地震対策特別措置法については、大変な人権の制限をする有事立法と同じ危険なものだと強く警告しています。なるほど、そうだったのかと思いました。また、大地震によって原子力発電所が被害にあったとき、その被害者は置き去りにされるしかないだろうと指摘しています。放射能汚染はチェルノブイリ事故で起きましたが、同じような事態が日本で発生しないという保障はどこにもないのです。これまた大変なことだと思いました。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー