弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年6月 1日

ベネズエラ革命

ウーゴチャベス演説集、出版社:現代書館
 いまラテンアメリカは大きく変わりつつあることを実感します。コスタリカは軍隊をもたない国として有名です。ブラジルもアルゼンチンも、アメリカべったりの腐敗政権が倒されました。ベネズエラも、いまではキューバと親交を結ぶ国です。
  そのベネズエラで、軍部のクーデターによって倒されかかったチャベス大統領が、国民の自然発生的な大デモンストレーションによって見事によみがえり、政権を確保しなおしました。その当の本人による感動的な演説をまとめた本です。演説集ですから、本としてはくり返しがあります。それでも、聴衆とのかけあいがあるため、かえって人々の息吹にふれられる利点もあります。
  子どもに、本、知識、自由という望ましい武器を与えれば、ファシストのメッセージが子どもに浸透するのは一層困難になる。自覚、組織、動員は大衆の3つの基本的要素だ。
  大多数のメディア、とくに民間テレビ放送が民主主義の認める表現の自由の権利を乱暴に歪めてきた。虚報を流し続け、メディアを心理テロの道具に変えた。
  反動的なクーデター勢力の最大の拠りどころは、民間テレビ放映などのメディアだったという点は、日本人としても大いに自覚すべきところだと私は思いました。日本のメディアの現状は本当にひどいものがあると思います。視聴率競争のもとで、国民が真面目に考えないようにするための空疎で馬鹿げた番組ばかりだと言って過言ではないでしょう。マスコミ、とくにテレビは、もっと社会の現実を直視すべきことを国民に伝えてもいいと私は思います。アメリカ合衆国からの相対的自立を大切にしようとするベネズエラの動きに、日本は大いに学ぶべきだと痛感しました。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー