弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年5月 1日

ケイタイを持ったサル

著者:正高信男、出版社:中公新書
 わが家に夫婦ゲンカをもたらした問題の本です。男女ともに、30歳になるまで子をもつ心の準備ができていない。100年前の日本と比べて、精神的な意味で大人になるのに倍の年月を要するようになった。このくだりがケンカのきっかけです。
 わが家にも親離れのできていない(と思われる)子どもがいます。その責任が、母親にあるのか、父親にあるのかでケンカになってしまったというわけです。
 「ケータイ族」は、仲間への信頼にもとづいた社会関係を築けない。本当は自立してもおかしくない年ごろであるにもかかわらず、まだ親に頼らなくては何もできないと思いこむことで、「だから私が・・・してあげなくてはいけないんだ」と自らの行為を正当化しつつ、モノを次々と買い与えるなかで、子の信頼をつなぎとめようとする。そこには、子どもを信じられない親がいる。
 父親である私にも耳の痛い指摘でありました。わが子たちよ、一刻も早く、まず経済的に自立してくれたまえ。

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