弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年4月 1日

病の世相史

著者:田中圭一、出版社:ちくま新書
 江戸時代、佐渡の村医者の日記を通じてみた百姓の生活が描かれています。私たちの常識に反して、村には、無医村の多い現代から想像もつかないほど多勢の医者がいました。昔の人は必ずしも短命ではなく、50歳をこえる人も多かったのです。80歳以上の老人には、お米を2割安く買えるように奉行所が手配していました。
 多きもの 医者と寺院と赤トンボ 臼の挽きがら 眼やみ瘡(かさ)かき
 こんな戯れ歌があったほど、江戸時代の佐渡には医者が多くいたのです。無医村ができたのは大正・昭和に入ってのことなのです。医者になったら金もうけができて、生涯安楽に暮らせるうえ、人聞きもよいと人々が考え、大勢の人が医者をめざしました。薬草や民間療法も研究がすすんでいました。温泉にしても、どこの温泉が何に効くということが詳しく紹介されていて、そこへみんな出かけていたのです。
 私は、昔の人をまたまた見直してしまいました。昔の人は偉かった・・・。

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