弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年4月 1日

商売の創造

著者:鈴木敏文、出版社:講談社
 私は原則としてコンビニは利用しない主義です。とは言っても、出張先のホテル近くのコンビニで買い物をすることはあります。他に店がないから、仕方がないのです。コンビニを利用したくないのは、従来型の商店がなくなってしまったら困ると思うからです。全国チェーンのコンビニで日本の商店が全部支配されてしまったら大変です。消費者主権と言いつつ、コンビニ(の支配元)主権になってしまうのでは、単に買わされる存在でしかありません。
 さすがに全国1万店舗のセブン・イレブンのオーナーだけあって、その話には含蓄があります。著者が周囲の猛反対を押し切ってセブン・イレブンを始めたときは、41歳でした。以来、30年間。今やスーパーよりもコンビニ、という時代となってしまいました。
 いまの時代は、お客様に意見がない時代だ。お客様に意見を聞くときは、こちらから商品を見せ、具体的に提案を示さなければならない。こちらからものを言って、その反響からお客様が何を求めているかを察知し、それをつくって提案していかなければならない。提供側としての自己主張が求められている。こちらから積極的にお客様の好奇心を刺激していかなければならない。コンビニが扱うのは、2500のアイテム。商品のライフサイクルは、日本は欧米よりはるかに短かい。日本の消費者は移り気。アメリカの三大コンビニはいずれも倒産した。
 『週刊ダイヤモンド』(2004年2月14日号)は「コンビニの支配力」を特集しています。コンビニが今や日本の消費市場に絶大な影響力をもっていることがよく分かります。私は、ますますコンビニはなるべく利用しないようにしようと決意しました。コンビニはいずれ、あらゆる意味で「不便な店」になるに決まっています。

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