弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年3月 1日

京・町家づくり千年の知恵

著者:山本茂、出版社:祥伝社
 古都・京都は何回行ってもいいところです。でも、あのJR京都駅は心胆を寒からしめるものです。まるで東京・新宿駅に着いた気分になります。最近改装したJR小倉駅も同じ雰囲気ですよね。それでも京都駅を出て少し歩くと、いかにも古都の町並みになります。
 町家(まちや)を「ちょうか」と呼ぶ人もいるとのこと。「大工は急(せ)かすな、値切るな、時間をかけて丁寧に」という家訓があるそうです。私は以前、建物だけで1億円かけたという豪邸を見学させてもらったことがあります。もちろん立派な材料がつかわれていました。しかし、なにより感心したのは、時間をたっぷりかけたという点でした。ツーバイフォー工法の、ペタペタと貼りあわせてつくるなんてものではないのです。年季のはいったベテラン大工さんがコツコツとじっくりつくりあげていくのです。なるほど、と思いました。弁護士についても「急かすな、値切るな、時間をかけて丁寧に」という家訓が広く喧伝されたらいいと思うのですが・・・。
 京都の昔ながらの町家がどこも同じような間口とつくりをしているのは、近所やお上(かみ)から、とやかく言われないように外見上の個性を殺したからです。ところが、中に一歩入ると、個性を生かしたつくりになっているのです。
 著者は、京・町家風の純和風旅館「 枳穀荘(きこくそう)」を建築しました。その状況が写真つきで解説されています。ホテルにないサービスが売りものということです。一度は利用してみたい旅館です。

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