弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年3月 1日

著者:乃南アサ、出版社:新潮文庫
 息もつかせぬ読み物です。女刑事の運命やいかに・・・。昔むかし見た、嵐寛寿朗が馬に乗って危機に陥った晋作少年を救いに来る場面を思い出します。映画館内は騒然として、大人も子どもも総立ちです。「早く、早く」と掛け声が飛び、「天狗、急げー」と言いながら拍手が鳴りやまない。私も手に汗を握り、息をのんでスクリーンを見つめました。
 女刑事が、つまらない相棒のやっかみから1人で足取り捜査しているうちに犯人たちに捕まり、人質にとられてしまいました。さあ、警察は面子にかけても同僚の刑事を救出しなければいけません。舞台は東京から熱海の温泉街に移ります。今や、熱海もさびれてしまって、閉鎖した高級旅館が犯人たちのアジトとなり、また女刑事のまた監禁場所でもあります。そこから、どうやって救出するか。
 読み手をぐいぐいひっぱっていきます。次の展開を知りたくてたまりません。私は、口答弁論の間際まで読みふけっていました・・・。

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