弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年3月 1日

獄中記・地獄篇

著者:ジェフリー・アーチャー、出版社:アーティストハウス
 ジェフリー・アーチャーはイギリスの有名な作家です。イギリスの政治家でもあり、サッチャー政権時代に保守党の副幹事長をつとめたこともあります。世界的なベストセラー作家ということですが、私は一冊も読んだことはありません。
 そのアーチャーが、2001年に4年の実刑判決を受けて2年間の刑期をつとめ、昨年7月に仮出獄しました。この本は、その入獄直後の状況を伝えたものです。一代貴族となったほどのアーチャーですから、処遇は恵まれていたと思いますが、それでも刑務所の受刑者となったことに変わりはありません。日本の刑務所との違いに目を開かされます。
 刑務所内には2台の公衆電話があり、受刑者はテレホンカードで外部と自由に電話で話ができる。面会のとき、抱きあったり、キスしたりできる。ただし、ビデオにとられている。受刑者がぶちのめされるのはシャワー室。1度に4人しか入れず、大きな音をたてても怪しまれない。だから、受刑者のなかには1年もシャワーをあびない者がいる。
 アーチャーは、獄中でも1日6時間の執筆タイムをとり続けました。1回は2時間ずつに限っているそうです。イギリスの刑務所では、日本の刑務所より格段の自由が保証されていることがよく分かる本です。

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