弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年3月 1日

百姓一揆の伝統

著者:林基、出版社:新評論
 50年近く前の本がオン・デ・マンド方式でよみがえりました。百姓一揆なるものが、いかに組織的かつ計画的なものであったか、目を見開かされます。しかも、江戸時代の農民には読み書きが、かなり普及していました。
 代官所に一通の願書が届いた。なかには一、二、三、四、五、六、七、八、九、十そして三としか書いてない。どういうことかと訊くと、「一つ一つ申しあげます。二は苦々しく三年このかた、しじょうなききんで、五穀も、碌々みのらず、質におくやら、恥をかくやら、食はずに苦しむ、十ヶ村の難儀」という。ではそのあとの三は何かと続けて訊くと、「願人横川三蔵」と答えたというエピソードが紹介されています(川越地方昔話集)。
 久留米藩の20万人百姓大一揆についても触れられています。福岡県史資料にあるようです。自衛隊のイラク派遣など、平和憲法をふみにじる小泉政権の横暴を許さないため、ぜひ、この大一揆を今によみがえらせたいものです。

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