弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年3月 1日

森に生きる人

著者:寺嶋秀明、出版社:小峰書店
 コンゴ民主共和国の北側の大森林に住むピグミーの生活を伝える本です。
 ピグミーの人口は全部あわせても20万人。ピグミーは、体が小さく、肌の色は淡い黒色。丸顔で、くりくりした目をしていて、手足がちょっと短い。狩猟と採集の生活です。たとえばゾウをしとめたときには、人々は鍋とナイフだけをもって殺されたゾウのいるところまで引っ越していきます。そこでキャンプをつくって、1週間以上も祝宴を催すのです。
 ピグミーは森の蜂蜜とヤムイモさえあれば、それだけで生きていけます。植物性の食物は必要なだけ食べる。肉は食べられるだけ食べる。肉はおかずだけでなく、心も満たしてくれる。ピグミーたちは明日のことは心配しない。必要以上にとったり、貯めたりしないので、余分に働く必要もない。だから余暇もたっぷりある。たいてい、食物集めには、半日も働いたら、それで十分。
 食物を分かちあうこと、権力者をつくらないことが、狩猟採集民のキャンプ生活でもっとも大切なことであり、みんなが仲良く暮らすための秘訣になっている。ピグミーにとって財産とは、背中のカゴに全部入ってしまうほどのものでしかない。
 ピグミーは、目印のない森の中でもぜったい迷わない。方向感覚がすぐれている。ただし、夜には、それもあたらない。アフリカの熱帯雨林で心おだやかに毎日を暮らしているピグミーには、私たちも学ぶところ大のようです。

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