弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年3月 1日

民主帝国アメリカの実像に迫る

著:毎日新聞取材班、出版社:毎日新聞社
 日本はいつまでもアメリカの言いなりでいて、本当にいいのでしょうか?
 アメリカの実像について、この本はさまざまなデータをあげています。ユダヤ系市民はアメリカの総人口の2〜3%にすぎないが、アメリカの政治に大きな影響力をもっている。
 アメリカの知識人やリベラル派がイラク戦争に沈黙したのは、自分の地位が危うくなるのではないか、個人攻撃を受けるのではないかと、反動を恐れて自己規制したから。
 アフガニスタンのカルザイ大統領の護衛は、現在、国務省から委託を受けた民間軍事企業(PMC)がアメリカ軍の特殊部隊「デルタフォース」の元隊員を雇って任務にあたらせている。PMC業界の市場規模は現在1000億ドルで、2010年には2020億ドルにまで倍増する見込み。
 アメリカ軍の優越性の絶対化を目ざし、アメリカは1時間あたり52億円を軍事費につぎこみ、1世帯あたり年間軍事費負担は45万円。世界の総軍事費の3分の1を占める。 アメリカのホームレス人口の3分の1(25万人)を元軍人が占めている。ホームレスの収容施設の平均年齢は45歳で、人種としては黒人、そして陸軍出身者が圧倒的に多い。PTSDや薬物常用が背景にある。
 60年代のアメリカでビジネス化した政治コンサルタントは当初100人程度だったが、今や1万人をこえる。売れっ子は何億円もの年収を稼ぎ、一大産業となった。
 アメリカの大学に世界から集まる留学生は、1991年に42万人。10年間に38%も増えて、2001年度は58万人になった。
 アメリカの破産者は1年で153万人(2002年度)。
 アメリカが敵として戦った相手は、すべて、かつてはアメリカの友人だった。
 いやー、本当にひどいものです。これがアメリカ流民主主義の現実です。日本人も顔を洗って目をさますべきではないでしょうか・・・。

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