弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年2月 1日

鉄の花

著者:小関智弘、出版社:小学館
 東京の下町、大田区のあたりの工場で旋盤工として長く働いてきた著者ならではの短編小説集です。
 鉄が匂う、鉄が泣く、鉄が歓ぶ。下町で働く人々の肌の触れあいが見事なタッチで描かれています。山本周五郎の世界を江戸から今にタイムスリップさせた気がしました。
 しばし、時刻が過ぎるのを忘れさせ、旋盤の音が隣の家から聞こえてくる、そんな錯覚に襲われる本です。

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