弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年1月 1日

救急精神病棟

著者:野村進、出版社:講談社
かを探っています。いろいろと教えられました。
 とりわけ深刻なのは、日本人の自殺者が1998年の2万人台から99年の3万人台へと急増し、それ以来ずっと3万人台になってしまったこと。80年代も90年代もずっと2万人ほどだったので、一気に5割も増えたことになる。これはソ連が崩壊したあとの自殺者の増加割合よりも多い。ということは、ソ連の崩壊と同じくらいの社会変動が起きているということ。なかでも、40代、50代の中年男性の自殺者が増えている。日本の社会に今かかっているストレスの凄まじさの象徴だ。
 たいがいの精神病は、睡眠の乱れで始まり、睡眠の復調で快方へと向かう。
 歯と精神病とは、切っても切れない関係がある。精神病患者には明らかに虫歯が多い。
 精神病患者は、心の中ではすごく普通の生活を望んでいる。しかし、病気のせいで表出の仕方が違うから、他人からは「異常」と見られてしまう。
 ジャンヌ・ダルクも、現代の精神医学によれば、「分裂病」(統合失調症)と診断されるに違いない。だから、「分裂病」の人たちは人類に必要な人たちなのであり、抹殺してはいけない人たちなのだ。
 いずれも貴重な指摘だと思いました。超早期英才教育を実践させられた娘が高校で燃え尽き症候群になって、やがて精神病まで発症し、自殺に至ったケースが紹介されています。やはり、何事によらず無理はよくないんだと思いました。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー