弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年1月 1日

日本列島フン虫記

著者:塚本珪一、出版社:青土社
 エジプト文明とスカラベは切っても切れない関係にある。そのスカラベの仲間が日本にも「ふんころがし」としてたくさんいる。コガネムシ科の仲間でもある。
 著者は日本全国、北海道から屋久島まで、ヒグマの糞、ヤクシカの糞のなかにいるフン虫たちを探し求めて歩く。ヤクシマエンマコガネは、背中の両側に突起があり、ツヤツヤと輝いている。カブトムシを小型にしたようなフン虫たちの姿は美しい。
 しかし、そんな彼らにも絶滅の危機が迫っている。牛の背中にかけるだけで皮膚から血液に入って牛の内部・外部寄生虫を駆除する駆虫薬が普及しているからだ。牛の体内には残留しないが牛糞に残留した薬剤は糞を分解する昆虫の発育を阻害する。
 フン虫の世界も奥が深いことが分かる本だ。

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