弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年12月 1日

隠された証言

著者:藤田日出男、出版社:新潮社
 1985年8月12日に起きた日光23便墜落事故について、改めて疑問を投げかけた本です。
 2つ問題があります。1つは、墜落直後は助かった4人以外にも何人もの生存者がいたのに、16時間も放置されてしまったのです。夜明け前に墜落現場に救援隊員を降下させることも可能だったのに、それもなされていない。これらはアメリカ軍と自衛隊の作為的な妨害工作をたしかに推測させます。
 もう1つは、後部の隔壁が破壊したため垂直尾翼が吹き飛んだという事故原因が本当かという点です。客室乗務員の落合さんの証言は、それに矛盾することが明らかにされています。しかも、垂直尾翼の大半が海中に落下しているのに、それを引き上げることが早々と断念され、決定的な証拠が見つからないことになってしまっています。あの18年前の大事故の教訓がいま本当に生かされているのか、改めて心配になってくる本です。
 飛行機に何百万人もの日本人が乗っているわけですから、政府は疑惑にこたえ、真相を究明して国民に公表すべきだと思います。

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