弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年12月 1日

先生が壊れていく

著者:中島一憲、出版社:弘文堂
 欠勤依存症という言葉をはじめて知りました。出勤困難症候群をくり返すことによって起きるものです。買い物依存症、ギャンブル依存症と同じく、プロセス依存と呼ばれる病理だそうです。学力優秀な学生が、社会性が未熟なまま教師になると挫折する場合があります。教科書指導はできても、生徒指導で壁につきあたるのです。
 指導力不足教員が少なくないのも現実のようです。でも、わがままな親は、それ以上に多いでしょう。親が商業主義に無批判に乗せられていたら、子どもが何の疑問も感じなくなるでしょう。まじめな教師は、そこで板バサミ状態になり、ノイローゼになってしまうのです。
 だから、うちは中高一貫の私立に入れるんだという親も多いわけです。でも、みんなが私立に入れるわけではありませんから、社会全体としての解決にはなりません。
 私はいま2校目の中学校の外部委員をつとめています。といっても年に2回ほど、中学校へ出かけていって校長先生と話しをして帰ってくるだけです。それでも、中学校の実情の一端に触れることができます。非行や不登校やいじめ、教師の体罰など、問題は山積していますが目をそらすわけにもいきません。弁護士会としては、もうひとつ、法化社会をめざしての法教育も実現させなければいけません。

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