弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年11月 1日

隠された証言

著者:藤田日出男、出版社:新潮社
 1985年8月12日に起きた日航123便の墜落事故について、改めて疑問を投げかけた本です。2つ問題があります。1つは、墜落直後には、助かった4人以外にも何人もの生存者がいたのに16時間も放置されてしまったのです。夜明け前に墜落現場に救援隊員を降下させることも可能だったのに、それもなされていません。民間人の方が早く現場に到着しているのです。これらはアメリカ軍と自衛隊が作為的に妨害工作した可能性をたしかに推測させます。
 もう1つは、後部の隔壁が破壊したため垂直尾翼が吹き飛んだとされている事故原因が本当なのかという点です。客室乗務員だった落合さんの証言は、それに矛盾することが明らかにされています。しかも、垂直尾翼の大半が海中に落下しているのに、それを引き上げることが早々と断念され、決定的な証拠が見つからないことになってしまっています。
 あの18年前の大事故の教訓がいま本当に生かされているのか、改めて心配になってくる本です。飛行機に何百万人もの日本人が乗っているわけですから、政府は疑惑にこたえ、真相を究明して国民に公表すべきだと思います。
 『クライマーズ・ハイ』を読んで当時の状況をたどったばかりでしたが、あわせて『沈まぬ太陽』を読んだときの心の震えるような感動も思い出しました。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー