弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年10月 1日

百万分の一の歯車

著者:松浦元男、出版社:中経出版
 米粒の上に小さなコンペイトウがのっているのかと見間違える写真があります。なんと100万分の1グラムの歯車が100個以上もひしめいているのです。使い途は、これから考えるというモノつくりの発想に驚嘆してしまいます。この本には多くの弁護士がお世話になっている中小企業のあり方について、教えられるところが多々あります。
 中小企業は、価格、規模、品ぞろえの3点で他社と競争してはいけない。技術があれば高い価値のものを生み出すことができ、価格競争にさらされることがない。株主に配当を出すような中小企業は、そのうちつぶれる。配当を出すより、社員が安心して働ける場をつくることが中小企業の経営者のつとめである。採算の合わない健全な部門をもっていない会社はいつか没落する。先着順に採用する。動機と機会を与えれば若者は伸びる。人材を育てるには規則をつくらないこと。規則が一番の諸悪の根元。零細企業の経営者であることが多い弁護士にとっても示唆に富む本です。

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