弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年10月 1日

『心』と戦争

著者:高橋哲哉、出版社:晶文社
 福岡の小学校の通信表(通知表)に神社の絵があるなんて、知りませんでした。えーっ、と驚いてしまいました。「心のノート」をつくった主要なメンバーは、戦後の経済的繁栄は教育勅語のおかげだといっています。しかし、教育勅語で心の教育を受けたはずの人々が、あの侵略戦争の原動力になったのではないでしょうか?
 それにしても、いまの日本の報道は、なぜ、あんなにも画一的なのでしょうか。どの新聞も政府の統制を受けていないはずなのに、見事に共通パターンで大見出しも記事もつくられています。選挙が始まりましたが、小選挙区制の問題点にふれることもなく、ひたすら二大政党制による政権交代の可能性を追求し、弱者の視点からの報道を置き去りにしています。日本人に再び戦争への道を走らせる道具だてがつくられつつあることを実感させられる本です。

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