弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年10月 1日

欺術

著者:ケビン・ミトニック、出版社:ソフトバンク
 ケビン・ミトニックは「史上最強のハッカー」として有名だ。富士通もアメリカで被害にあっている。逮捕されて禁錮5年の実刑判決を受けた。2000年1月に連邦刑務所から出て、本年1月に保護観察期間も終了した。今では企業側に立ってセキュリティのコンサルタント会社を営んでいる。この本は、その立場で実戦的なハッカー対処法を明らかにしている。
 この本で紹介されている犯行の手口を読むと、たとえば、かかってきた電話の番号表示も簡単にごまかせることが分かる。アメリカの刑務所では、国選弁護人事務所とは直通電話回線がある(日本にはそのようなシステムはない)が、それを利用して受刑者が外部と自由に電話で話せるテクニックまで紹介されている。まさかと思う手口だ。コンピューターは便利なようで恐ろしいツールだと再認識させられた。

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