弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年10月 1日

ビアフラ戦争

著者:室井義雄、出版社:山川出版社
 悲惨なビアフラ内戦で多くの餓死者を出したことは記憶に残っていた。ビアフラがナイジェリアの一部であったことを今回初めて認識した。ナイジェリアの大統領はオバサンジョという名前だ。よその国の大統領を笑うのは大変失礼だと思うが、日本人としてはオバサンじょとしか聞こえないものだから、つい笑ってしまう(ごめんなさい)。
 ビアフラ内戦がなぜ記憶に残っていたか、この本を読んで謎がひとつ解けた。それは、私が憧れの東京で大学生になった1967年5月にビアフラ共和国が「独立」したことに端を発して内戦が始まったからだ。大学生になったら、いろんなことができると大きな希望を抱いて上京したが、たちまちその幻想は砕かれてしまった。砂をかむような学生生活にならなかったのは寮生活とサークル(セツルメント)活動のおかげだった。
 ビアフラ内戦によって戦死者20万人、民間人の死者2万人、餓死者150万人、全部で犠牲者200万人といわれている。国際的な救援活動によってビアフラ軍がよくもちこたえ、結果として内戦を長期化させ、犠牲者を増大させた。そしてナイジェリアの油田はシェルBP石油などの国際石油資本に巨額の利益をもたらしているが、地元にはほとんど還元されていない現実がある。救援活動もマイナスをもたらすことを知ったが、それにしても部族間の血を血で洗う報復戦闘のくり返しには、やり切れない思いに駆られる。この本は、そんな悲しいアフリカの内戦の実情を紹介している。

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