弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年9月 1日

色を奏でる

著者:志村ふくみ、出版社:ちくま文庫
 チャン・イーモウ監督の中国映画「英雄」を見ました。ストーリーもさることながら、色彩感覚の見事さに感嘆させられました。画面に眼が吸いつけられ、いっときも目が話せません。映画が終わってタイトル・クレジットを見ているとワダエミと日本人の名前が出てきて、あれっ、と思いました。パンフレットを買って読むと、たしかに日本人なのです。黒澤明監督の「乱」でアカデミー賞優秀衣装デザイン賞を受賞した衣装デザイナーだそうです。赤い色の服を54もの彩度に分けて染色工場でつくり出していくなど、信じられない話が書かれています。
 この本は、映画とは全然関係ありません。植物染料による染色が紹介されています。どんな色が出るか、それは草木まかせ。化学染料は脱色できるが、植物染料は脱色できない。キラキラ生き生きと眩しいばかりに輝く染めた糸の写真を見ると、布もいいなあ、さわってみたいものだなあと思います。

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