弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年9月 1日

ゴースト・ソルジャーズ

著者:ハンプトン・サイズ、出版社:光文社
 第2次世界大戦中のフィリピンのルソン島で日本軍の捕虜となったアメリカ兵513人をアメリカ軍のレンジャー部隊が現地のゲリラ部隊とともに救出に向かい成功する作戦を紹介した本です。近くスピルバーグとトム・クルーズで映画化されるそうです。
 私もフィリピンのレイテ島に公害視察に出かけたことがあります。大岡昇平の『レイテ戦記』に出てくる鬱蒼とした密林(ジャングル)は今や影も形もありません。戦争と木材輸出による環境破壊のすさまじさを実感させられました。
 フィリピンの日本軍といえば、あのバターン死の行進がすぐ思い出されます。救出されたアメリカ兵(実はイギリス兵などもいました)は、その生き残りでもあります。
 日本軍による無謀なバンザイ突撃の場面などは、同じ日本人として無惨な死に胸が痛みます。少し前にアメリカ人による『硫黄島戦記』も読みましたが、アメリカでは第2次対戦の戦記物がブームになっているのでしょうか・・・。
 内藤功弁護士(元日本共産党参議院議員)によると、日本の自衛隊は日本軍人の戦記物を最近になって再評価しているということです。戦争の実相を後世に伝えること自体は必要なことだと私も思いますが、それが戦意高揚の目的であれば賛成しかねます。

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