弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年8月 1日

在日米軍

出版社:岩波新書
 湾岸戦争のとき、戦闘による死者は、イラク軍については兵士と民間人あわせて10万〜13万人とされているのに対して、アメリカ軍ではわずか144人でした。超近代兵器を駆使して、安全な場所から敵をたたくアメリカ軍の作戦を近代ハイパー・ウォーと呼ぶそうです。これは、戦争というより大量虐殺だとジャーナリストは言っています。
 横須賀から出動した空母ミッドウェーは、1人の兵員も1機の航空機も失うことなく、他のどの空母よりも多くの出撃をこなしたそうです。この事実は、在日米軍基地で行なわれている訓練レベルの高さと秀逸なメンテナンスを証明しています。ペンタゴンの日米安保関係報告書によります。
 この本を読んで、テポドン・ショックが、実は、つくられたものだったことを知りました。海上自衛隊のイージス艦「みょうこう」は、2週間も前から日本海に出て発射の瞬間をとらえるために待機しており、レーダーは見落とすことなく、追跡しました。また、アメリカ軍も、三沢基地を中心としてRC135S(電子情報収集機)2機によって監視していました。発射が近いという情報は偵察衛星から得ていたそうです。
 次のように書かれています。無関心のひろがりは、日本の政治に理念や理想が失われ、市民が根源的なものを問うエネルギーを失っていく過程と重なって進行してきたのではないか。著者の問いかけを私は重く受けとめました。

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