弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年8月 1日

オウム

出版社:トランスビュー
 オウム真理教を擁護した宗教学者として世間から指弾された島田裕巳・元日本女子大教授が反省をこめてオウム真理教について分析した本。540頁もの大作で、私は上京する飛行機のなかで、睡魔とたたかいながら、なんとか読破した。
 オウム真理教は今も相当数の現役信者をかかえている。元信者たちの多くもオウムとのかかわりを完全に断ち切ったとは言えない状況にある。なぜなのか?
 坂本弁護士一家がオウムに殺害されたのは1989年11月3日深夜。この本によると、当時、「サンデー毎日」がオウムの糾弾キャンペーンをはじめ、信者が大いに動揺している状況で、坂本弁護士一家の殺害が企画されたという。それにしても、なんとむごいことを「宗教家」が考えることか・・・。
 島田元教授は、ヤマギシ会の信者だった。自分の体験を通して、オウムなどのカルト教団から元信者が完全に脱却することの難しさを訴えている。

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