弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年8月 1日

月の浦惣庄公事置書

著者:岩井三四二、出版社:文芸春秋
 「法廷ミステリーの傑作」とオビに書かれています。しかし、現代日本の裁判モノではありません。時は15世紀、室町幕府のころです。日本人がいかに昔から裁判(公事)が好きだったかを、この本も裏づけています。歴史小説とはいえ、びわ湖付近の土地争いが裁判になった事実をもとにしたものなのです。さすがに松本清張賞を受賞しただけあって、読ませます。怨念と復讐の歴史ロマネスクという評がぴったりです。
 私は、この本を読みながら、少し時代は異なりますが『神無月の十日の夜』という本を読んで深い感銘を受けたことを思い出しました。

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