弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年8月 1日

したたかな植物たち

著者:多田多恵子、出版社:SCCガーデナーズ
 私がガーデニングを楽しみはじめて10年以上になる。犬を飼っているときには難しかった。犬が庭を走りまわって、せっかくの花や野菜と枯らしてしまう。
 愛犬マックスを病気(ジフテリヤ)で死なせてしまってから、花と野菜づくりにいそしむようになった。土いじりは幼いころのドロンコ 遊びとひとつも変わらない。だから、無心で遊べる。ミミズにこんにちわを言い、モグラの穴とぶつかる。気をつけないとヘビにニアミスしてしまう。
 花も野菜も、手をかけた努力に精一杯こたえてくれるのがうれしい。花の美しさも、妖艶、艶(あで)やか、艶麗、という形容動詞をつけることができる。たとえば今咲いているノウゼンカズラは、まさに肉感的な橙々色の花だ。
 この本を読むと、植物が生き残りのために、あの手この手の作戦をねっていることが、美しい花の写真とともに見事に解説されていてよく分かる。
 「植物だって恋をする」、たしか、そんな本があったと思うが、生き物はすべてつれあいを求めて、その本能につき動かされながら生きている。人間様だけが恋に悩んでいるわけでは決してない。

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